• 利害が絡まなければよい人だらけのベトナム人

顔を出せばいつもの銘柄のタバコを差し出してくれる雑貨屋のおばちゃん。笑顔で出迎えてくれるビアホイのお姉ちゃん。利害のない状況で接するベトナム人は総じて、外国人にはひときわ親切で、ちょっとしたミスもKhong Sao、Khong Saoと寛大に受け入れてくれます。一方で、難癖をつけて担保金を返さない貸事務所の家主や、時間通りに来なくても何食わぬ顔の運転手、弊社の教育資料を拝借して商売をするもと従業員など、利害が絡む場合には利己心が際立つベトナム人材にもまま遭遇します。従業員の採用など、雇用者・被雇用者という利害が生まれる関係にては、人柄の良し悪しの見極めがことさら重要になるのもベトナムならではです。

 

  • 持ちつ持たれつのベトナムライフ

弊社は日系企業、また顧客の大半も日系企業ですので、仕事の場面において筆者は、ベトナム人材に対して圧倒的に指導的立場に立ちます。指導時に口答えをするベトナム人材には、カッとしてしまうこともありますし、考えればわかりそうな指導内容では上から目線にもなりがちです。一方で、会社を一歩離れれば、特にお役所関連の手続きなど、ベトナム人材の助けなしには生活もままなりません。仕事では能力向上意欲の高いベトナム人材に成長の機会と知恵を与え、ベトナム生活をなんとかやり過ごすにはベトナム人材の助けを得る。持ちつ持たれつで、ベトナムに住む外国人とベトナム人との関係が成り立っているように思います。

先日は日系のラーメン屋さんで、ベトナム人従業員を怒鳴りつけている日本人を見かけました。確かにベトナム人従業員にも落ち度があったように見受けましたが、そんなベトナム人材もなくしては会社は成り立たず、ベトナムでの生活も立ち行かないのが現実です。

 

  • 「えむ・お~い」に愛を込めて

「八谷さんの『エム・オイ』には愛がない」。筆者がベトナムに来て間もないころ、レストランで従業員を呼ぶ筆者に向けて、同席したベトナム人が発したコメントです。お酒が入って冗談半分ではありましたが、年下の男女を呼ぶ際には「えむ・お~い」と「お~い、お茶」のコマーシャルのように優しく語尾を伸ばすのが良いのだと教えを受けました。ベトナムのアイン(チ)・エムの関係は日本でいえば兄弟(姉妹)の関係です。兄・姉は弟・妹には思いやりを持って接するのがありたいベトナム流のようです。

 

「その地で商売をさせてもらっているのだから、感謝の気持ちで仕事をする」とも言われます。日系企業のベトナム進出がベトナム社会の発展の一翼を担い、外貨を稼ぎ、人を育てる。その一方で94百万人の比較的安価で実直なベトナム人材が、日本製品・サービスの競争力の維持に貢献してくれています。先進国から来た外国人だからといって高飛車になることなく、善き先生を目指したいと思います。

3つ料理を頼むと2つしか出てこない、日本人には当たり前に思える行動が見られない、イラっとすることも多いベトナムですが、ベトナム人の助けなしには生きてもいけないのが外国人である日本人です。持ちつ持たれつだと思って、愛を込めて「ちょい・お~い」と叫びましょう。