□ 盲目的な「上意下達」がベトナム流

先日、業者への業務依頼にあたり、業者との契約書を弊社のスタッフが持ってきました。

部下:「社長(Sep)、業者が公式領収書を発行するのに契約書が必要なのでサインしてください」

筆者:「ちょっと、待って。領収書発行のために契約書が必要なのではないでしょう?契約書の目的は何?」

部下:「だから、公式領収書が必要なので、契約を結ぶ必要があるんです。。。」

伝統的なベトナム人の就業感が、家族企業の経営者にあれこれ指示されることを、ただ盲目的に実施する使用人的な感覚だとは、以前より何度か本コラムにも書かせてもらっています。これに加えて、いざ依頼した「作業の目的」はなに?と、問うとなかなか回答できないケースや誤答が返ってくるケースもままあります。

 

□ 顧客視点から目的を策定する

6月には「作業の計画立案」の研修講座をベトナム人材向けに開催しましたが、講座の演習にても受講生が「作業の目的」を見誤っている例が見られました。例えば、「ウェッブサイトを構築する」作業の目的を「ウェッブサイトを期日までの構築し終える」と定義してしまうようなケースです。こうした目的の定義をしてしまうと、いわゆる手段の目的化がされてしまい、本来依頼者(顧客)が期待する、「ウェッブサイトを通じた集客」といった目的を果たすための施策を全く考慮せず、ただウェッブサイトを構築して作業が終わり、となってしまいます。

作業計画立案の第一歩は作業の目的の定義となりますが、まずは作業を依頼するには目的をどのように理解しているか確認すること、また目的を定義する際は顧客(もしくは依頼者)の視点から定義することを指導していきたいものです。

 

□ 目標は目的の達成度を測る評価指標

目標(mục tieu)には比較的慣れ親しんでいるベトナム人材も多いように思います。しかし、目標に目を奪われ、本来の目的に気づいていないケースもまま見られます。例えば、「コスト削減:10%」といった目標があると、購買部の担当者は「業者と値引き交渉する。より安い業者を探す。」といった施策を提起してしまうケースです。本来の経営者の思いは「会社のコスト体質の強化」であっても、ひたすら目標達成に向けて、業者たたきに終始してしまいます。

目標には必ず目的があり、むしろ目標は目的の達成度を測るための指標であり、目標を達成しても目的が果たされないのであれば意味をなさない。ということはしっかりと伝えておきたいものです。また、とかく目的が見過ごされがちですので、目的を明示するとともに常に目的を意識させていくことが大切に思います。

 

「言われたことをするだけではなく、主体性を持って仕事に取り組んで欲しい」。経営者の皆さんから良く聞かれるベトナム人材の成長への期待です。主体性を持った仕事の第一歩は正しい目的の理解となります。皆さんも「Mục dich la gi?」を活用されてはいかがでしょうか。